2004-08-25

秋の気配・・・

宿の大窓の向こう側がきらきらと眩しく、つい目を留めてしまう。さらさらと風に揺れている木々の葉っぱの隙間から零れる木漏れ日の光が無数の線の照明となって何だかいつもとは違う地面に見える。葉っぱが黄色くなり始めた白樺の木の下はいっそう眩しく感じた。美留和ではここ数日気温がぐーんと涼しくなり、陽の光と色が、空気の匂いと透明度が、流れる雲の速さが、空の色と高さがもう秋の気配。庭に出てみると、顔に当たる爽やかで涼しげな風は心地よくて、木々の葉っぱたちと同じように、いつまでも風に吹かれていたい気分になった。宿の玄関も、うさぎの暖簾と去年拾った落ち葉と松ぼっくりで、ささやかに初秋の装いにしてみた。この夏の暑かったその分、一段とくっきり鮮やかな紅葉に包まれるかもしれないことを思うと密かな楽しみが出来たようでうれしく秋の季節がだんだんと深まっていく自然の姿を丁寧に観て感じたいなあ・・・と思った。宿の庭のもみじの木の葉っぱにもオレンジ色に変わり始めているのをいくつか見つけた。


2004-08-13

時空を超えてもっと遠くへ・・・

いつの間にか繁忙期に突入し、時間に追われるように毎日の業務をこなしている最中、「外の空気をちょっとだけ吸いに行こう!」と宿主に誘われた。部屋の空気の入れ替えをするのと同じように身体中の風通しがよくなるよう深い呼吸をしながら、近所のホッパーとポニーのサクラに逢いに行ってみた。遠くにいたホッパーだったが宿主に気づくと、近寄ってきた。伏目がちな憂いともいえる深く優しい目を向けられると思わず何度も頭をなでたくなった。ホッパーの目は目先のこと、目に写るだけのことじゃなくて時空を超えて遠くまで観て感じとっているような、そんな目をしてるように思えた。ふーっと肩の力が抜けた。遠くを眺めると、流れの速い雲の合間にぐーんと高くなったゆきあいの空が広がっていた。時間に流され目の前のことしか見えてないことのないよう、平和ボケしたり、「忙しいから」を最もらしい言い訳にして、こころが閉ざされないよう、こころの視線はもっと遠くに、地球の向こう側のこともこちら側のことも、自分に繋がってることとして観て考えるようにしておきたいと思った。飢えることなく、雨風暑さ寒さをしのげて、安心して眠れることが、当たり前のことではない現実があること・・・。ホッパーの目を見ていて一気に色んな思いが溢れた。新鮮な空気をたくさん身体に詰めて帰ろうとするとサクラが「私の頭も~!」と身体まで乗り出して派手にアピール。帰るに帰れなくなった宿主。笑いながら何度も頭をさすってあげた。


2004-07-23

季節の便り

桃とぶどうの季節の贈り物が届いた。本州で育った宿主が思い描く夏の果物たち。今の時季の本州の水と空気、においと音までもの懐かしい感じが身体の奥底からリアルな感覚として湧き上がってくるようだった。「そーだな、今ぶどうと桃の季節の真っ只中なんだよなあ。」と半ズボンとシャツ一枚のまるで夏休みの小学生のような格好で宿主がつぶやいた。カキ氷や冷やし素麺ばかりを好んで食べていた頃のことも思い出した。ここ2~3日美留和でも日中は30℃を超えるが、本州のそれとは不快度が断然違う。今のところ扇風機もクーラーも無し、でも、しっかり暑くて汗が滲み出てくる最も夏らしい日の昼下がり、優しくて甘くてかわいい色合いの桃とぶどうを眺め、香りを楽しませてもらっていることが、もの凄く贅沢に思えた。自然からの果物そのものの瑞々しさと新鮮さと味を身体の中にもこころにもたくさん頂いた。美味しいうちにお客様にもお召し上がり頂こうと、桃はフレッシュタルトに、ぶどうはフロマージュとカスタード三層の冷たいデザートに変身した。陽も翳り暑さも引いてひと段落する頃、冷たいデザートとともにする「夕涼み」が今日一番の楽しみの一つとなりそうだ。