2004-03-27
なごり雪・・・
天気予報で網走沖に低気圧が停滞し、雪になるという予報に、一年の中でも美留和の冬景色が好きな宿主はなごり雪だな・・・と楽しみにしていたが、前日の晩から風が音を立てて強く吹きつけ、宿が揺れるように感じるほど。なごり雪はおろか、「なごり猛吹雪」となってしまった。次第にどんどん強まり、あっという間に真冬に逆戻り、再び辺り一面真っ白の雪景色となった。1月の大雪の時のように、また弟子屈がいつ陸の孤島になってもおかしくないような猛吹雪だったので、道路情報を気にしながら仕込みの合間に駐車場の除雪、露天風呂のお湯加減の微調整と足元の除雪に大忙しの宿主だった。弟子屈に続く道路がひとつ、ふたつと通行止めになっていく中、予約のお客様が決して無理されることのないよう、こちらから連絡させてもらうかどうか判断つきかねているうちに、お二組のお客様とも無事に到着され、ほっとした。明日になれば天気は回復するとの予報に、今シーズン最後の雪かきになるかも・・・と季節の変わり目の真っ只中にいることを思い、もう、すぐそこまで春うららかな季節がやってきていることを感じながら、除雪に精を出す宿主だった。


2004-03-15
春スキー日和
太陽の光は明るく、空は青く、空気が美味しい快晴の朝、サンドイッチをこしらえて川湯の森の中をクロスカントリースキーで散策することとなった。普通のスキーの経験は長いもののヒールフリーで金属エッジのない歩行主体のスキーは初体験。歩くスキーとは言え、少しでも傾斜があるとスゥィ~と前後に滑りバランスを崩しそうになる。そういう自然な滑りに身を任せ力を抜いてバランス良く板に乗っていられれば楽なのだろうが、特に最初の10分くらいは全身が緊張して普段の生活では使うことのなくなった、でも子供の頃にはよく使っていたであろう神経や筋肉がフル活動した感じだった。そういうスリルも次第に楽しく、大はしゃぎ。何となくコツを掴んできたかと思いきや鹿や兎の糞の上など所構わず、全く場所を選ぶ余裕などなく派手に仰向けにひっくり返り、「畜生!」と悔しがりながらも楽しそうな宿主だった。松の原生林を抜けて白樺も混じる新しい森に入ると、前方を軽やかな足取りで走り去る鹿の群れにも出会った。北国で生まれ育ち、スキーもスケートもまるで自分の身体の一部であるかのように自由に操る友人の格好いい滑りをお手本に今シーズン雪が残っているうちに再度挑戦したいと思った。




2004-03-08
十八夜、居待月
おぼろ月夜。ほのかに霞んで光の薄い月を指すが本来は春を意味する言葉だそうだ。今晩は月が天の赤道を通過した夜だった。宿の大窓の向こうにぽっかりと浮かぶ月を見つけると、しばらく眺めてしまう。月の光を浴びながら巡らす思いは毎日違っても、いつもほっとさせてくれるような柔らかさがある。神話の時代から今に至るまで、月を見上げてきた幾千幾万人もの人たちのさまざまな思いが優しい光となって解き放たれているような気がする。朝晩はまだまだ氷点下の美留和だが、鹿たちを見かけることが多くなったことや、今晩のおぼろ月夜からも季節が移り変わりつつあることを感じる十八夜だった。

