2004-03-15

春スキー日和

太陽の光は明るく、空は青く、空気が美味しい快晴の朝、サンドイッチをこしらえて川湯の森の中をクロスカントリースキーで散策することとなった。普通のスキーの経験は長いもののヒールフリーで金属エッジのない歩行主体のスキーは初体験。歩くスキーとは言え、少しでも傾斜があるとスゥィ~と前後に滑りバランスを崩しそうになる。そういう自然な滑りに身を任せ力を抜いてバランス良く板に乗っていられれば楽なのだろうが、特に最初の10分くらいは全身が緊張して普段の生活では使うことのなくなった、でも子供の頃にはよく使っていたであろう神経や筋肉がフル活動した感じだった。そういうスリルも次第に楽しく、大はしゃぎ。何となくコツを掴んできたかと思いきや鹿や兎の糞の上など所構わず、全く場所を選ぶ余裕などなく派手に仰向けにひっくり返り、「畜生!」と悔しがりながらも楽しそうな宿主だった。松の原生林を抜けて白樺も混じる新しい森に入ると、前方を軽やかな足取りで走り去る鹿の群れにも出会った。北国で生まれ育ち、スキーもスケートもまるで自分の身体の一部であるかのように自由に操る友人の格好いい滑りをお手本に今シーズン雪が残っているうちに再度挑戦したいと思った。


2004-03-08

十八夜、居待月

おぼろ月夜。ほのかに霞んで光の薄い月を指すが本来は春を意味する言葉だそうだ。今晩は月が天の赤道を通過した夜だった。宿の大窓の向こうにぽっかりと浮かぶ月を見つけると、しばらく眺めてしまう。月の光を浴びながら巡らす思いは毎日違っても、いつもほっとさせてくれるような柔らかさがある。神話の時代から今に至るまで、月を見上げてきた幾千幾万人もの人たちのさまざまな思いが優しい光となって解き放たれているような気がする。朝晩はまだまだ氷点下の美留和だが、鹿たちを見かけることが多くなったことや、今晩のおぼろ月夜からも季節が移り変わりつつあることを感じる十八夜だった。


2004-03-04

流氷クルージング体験

流氷船に乗ってみよう!と、ふと思い立った宿主、オホーツク海沿岸に敷き詰まった流氷を遠くから眺めることはよくあったが、今日はオーロラ号のクルージングを体験することとなった。初めての体験にワクワクしながら、しっかりと楽しめるよう完全防寒で景色がよく見渡せるデッキに立った。船が沖合いに走り出すと、そこらじゅうのカモメ、ウミネコたちもいっせいに船を追いかけるようについて来る。出航して約15分くらい経ってから大きな氷塊にぶつかるような鈍い振動があり急に船の速度が落ちたかと思うと、辺り一面が氷の陸地のように拡がっていた。厚さが80cmくらい広さが4~5畳分くらいはありそうな氷の塊が無数にざぶりざぶりと浮いている。これまで流氷について雑誌やネットから情報は得ていたが、「百聞は一見にしかず」の言葉通り、実際の流氷クルージングはもっと迫力があり、遥か遠くまで広がる氷野の雄大な風景に圧倒された。冷たく痛い氷点下の風に吹かれながら、遠くシベリア半島のアムール川河口から漂流してきている流氷の風景の中に自分たちも自然の一部分として立っていられることが凄いことのように思えてきた。のんびりとお昼寝をしているアザラシに出会うことは出来なかったが、遠くの流氷の上で、じっーと立ってこちらを見ている天然記念物のオジロワシには数回出会った。