2004-03-04

流氷クルージング体験

流氷船に乗ってみよう!と、ふと思い立った宿主、オホーツク海沿岸に敷き詰まった流氷を遠くから眺めることはよくあったが、今日はオーロラ号のクルージングを体験することとなった。初めての体験にワクワクしながら、しっかりと楽しめるよう完全防寒で景色がよく見渡せるデッキに立った。船が沖合いに走り出すと、そこらじゅうのカモメ、ウミネコたちもいっせいに船を追いかけるようについて来る。出航して約15分くらい経ってから大きな氷塊にぶつかるような鈍い振動があり急に船の速度が落ちたかと思うと、辺り一面が氷の陸地のように拡がっていた。厚さが80cmくらい広さが4~5畳分くらいはありそうな氷の塊が無数にざぶりざぶりと浮いている。これまで流氷について雑誌やネットから情報は得ていたが、「百聞は一見にしかず」の言葉通り、実際の流氷クルージングはもっと迫力があり、遥か遠くまで広がる氷野の雄大な風景に圧倒された。冷たく痛い氷点下の風に吹かれながら、遠くシベリア半島のアムール川河口から漂流してきている流氷の風景の中に自分たちも自然の一部分として立っていられることが凄いことのように思えてきた。のんびりとお昼寝をしているアザラシに出会うことは出来なかったが、遠くの流氷の上で、じっーと立ってこちらを見ている天然記念物のオジロワシには数回出会った。


2004-02-20

海の天使、クリオネ

先日お泊り頂いたお客様に大事そうに抱えられて一緒にやって来たクリオネ。部屋に冷蔵庫がなかったせいかお客様は車の中に放置しておかれる様子だったので、それでは凍結してしまうとのことで宿主が預かり宿の冷蔵庫で一晩を過ごすこととなった。クリオネの和名は「はだかかめがい」。巻貝の仲間で生まれて来る時は貝殻を持っているが成長の過程で捨ててしまうのだそう。学名のクリオネはギリシャ神話の「海の天使」を意味する「クレイオ」に由来。英語ではシーエンジェル。いずれも天使という意味を持たせてある。こんなにたくさんのクリオネたちを間近に観たのは初めてだった。半透明で小さな角をはやし羽衣みたいな服をまといヒラリヒラリと浮遊している様子はかわいらしかった。優雅に浮遊する者もいれば、もくもくとガムシャラに翼をパタパタさせている者もいたりで個体差があっておもしろかった。つい先日、例年よりも2週間以上も遅れて流氷が接岸した網走沿岸には今の季節たくさんのクリオネたちがゆ~らゆ~ら、ひ~らひ~ら、気持ちよさそうに浮遊しているのであろう。


2004-02-11

冬の散歩

朝晩はまだ-20℃を下回る美留和だが日中は快晴だったりすると大分暖かくなってきた。太陽も高く昇るようになり、陽の光の色も明るく眩しくなってきたお昼前、散歩をしてみようと宿主に誘われた。もちろん、厚着をしてスノーシュー(日本の「かんじき」を機能的に扱いやすくした西洋かんじきのこと)を履いてストックを持ってである。宿主に案内されるがまま、裏山に入り森の中を散策した。スノーシューを履くと、積もった雪に足が取られ埋まることなく自由自在にどこへでも行ける。夏には木が覆い茂る沢の行けないような場所でも、雪が降り積もり辺り一面なだらかな雪原と化したその場所を難なく横切り近道をして山奥に入ったりと、これが結構おもしろかった。空気も気持ちのよい冷たさで美味しく、雪を歩く音の他には野鳥たちのさえずりが響いて心地よかった。ウサギの足跡もたくさんあり、山奥で自由に遊び回っていることが簡単に想像できた。途中でウサギの足跡が途切れているところを見つけた宿主、静かに辿ってみると、小さな声で「ウサギのねぐらを見つけた!」と、ウサギが穴の中で休んでいるらしいのを脅かすことのないようそーっと観察させてもらった。まだまだ寒い冬の真っ只中とばかり思っていたが、辺りの木々をよく見ると小さなつぼみが芽吹いていたり、春が確実に近づいている事を自然から教えられた。改めて、自然の中で生活している喜びを感じられるひとときだった。