2004-01-15

すごい、すごい!ブリザード!

昨日からの大荒れの天気で弟子屈も隣接する市町村へと通じる全ての道路が通行止めで陸の孤島となった。今朝は宿が丸ごとすっぽりと雪の中にあった。宿主は早目にご予約頂いていたお客様に状況を説明し、昨日、今日と明日の宿泊をこちらから断わらせて頂いた。こういう自然の厳しい部分の現実は、言い訳する余地もなくすっかりそのままを受け止めるしかないことを思い知らされた。人間の頭で、手で、何でも操作できてしまうような錯覚と思い込み、便利さに埋もれたような中で生活していることを当たり前のことのように思ってしまっているような自分たちが、こういう全く抵抗することの出来ない自然の凄さの現実を目の当たりにすると、こころが震えた。そういう中での雪かきは、もう冷たくて、痛くて、寒くてどうしようもないのだけど、簡単なことばかりではなく大変なことがいつも背中合わせになっているという現実をありのままに受け止めて生きる練習をさせてもらってるような気もした。そんな中、小さい頃の今日みたいな台風のある日、エレクトーンの大きな椅子とオルガンの椅子を並べたその上をタオルケットで覆いかぶせて小さな部屋を作り、その中に弟、妹と3人で手を握り合って入り、うずくまっていた日のことがなぜか急に思い出された。怖いのだけどうれしいようなそんな気分だったような気がする。

温泉を引き上げるポンプが止まり、すっかり凍ってしまった露天風呂

1/16の夕方、やっとやっと除雪車が来た駐車場前。ありがたい。宿主は車一台分が通れるスペースの除雪。3時間かかった。

大窓部分の除雪をしているところ

鳥の餌台も何もかも雪の中。積雪2m20cmくらい。

停電でロウソク2本とランタンで灯りをとるホール


2004-01-09

雪見露天風呂から見上げる空

昨日の大雪でどこもかしこもすっぽりと雪に包まれた。お客様の足元の確保と湯加減の調節に露天風呂と厨房を何度も行き来する宿主。先日のお客様が作って下さったであろう、お地蔵さんのように並んでいた天然岩の上の小さな雪だるまたち、露天の周りに残っていたうさぎや鹿、キツネたちの足跡も全て姿形もなくなりすっかりと雪の中に埋もってしまった。外灯まで雪に埋もり、何だかまるでモンスターのような物体と化している。雪に囲まれた中から立ち上がるお湯の蒸気を浴び、天然温泉の暖かさがほくほくと身にもこころにも染み渡る季節に移り変わっていることをしみじみと感じた。お客様は雪見露天風呂から見上げる空に流れ星を見つけ、もう一度見たく見つけるまでついつい長湯してしまったとのこと。ふやけたカエルのようになりながら流れ星を待って何度かのぼせたことのある宿主は、そのことを聞いて自分のことのようにうれしがっていた。


2004-01-06

美留和の雪景色

宿の大窓からの夜の雪景色をささやかにほんの少しだけ飾ってみた。この季節-20℃になる美留和ではバケツに水を入れて一晩置くと次の朝頃、周りだけが筒のように凍りアイスキャンドルに丁度良い氷の入れ物が出来る。出来たアイスキャンドルを雪の穴の中に入れて下から灯の光を放ってみた。ゆらゆらと揺れる灯の光に反射しキラキラとした雪の世界が映し出されると、思わず外に出てみたくなった。さらさらと降るその雪が木の枝の細い部分までを包み込み、まるで音のない世界のようで、雪原を歩く時には音をさせないで静かに歩かなくてはいけないような気にさせられた。雪と灯が融合した景色の-20℃を肌で感じる世界は気持ち良かった。次第にこころだけはあたたまっていくように思えた。いつまでも眺めていたかったが手のひらに最後の温もりが残っているうちに、また足音を立てないよう静かに宿の中に戻った。