2004-03-08

十八夜、居待月

おぼろ月夜。ほのかに霞んで光の薄い月を指すが本来は春を意味する言葉だそうだ。今晩は月が天の赤道を通過した夜だった。宿の大窓の向こうにぽっかりと浮かぶ月を見つけると、しばらく眺めてしまう。月の光を浴びながら巡らす思いは毎日違っても、いつもほっとさせてくれるような柔らかさがある。神話の時代から今に至るまで、月を見上げてきた幾千幾万人もの人たちのさまざまな思いが優しい光となって解き放たれているような気がする。朝晩はまだまだ氷点下の美留和だが、鹿たちを見かけることが多くなったことや、今晩のおぼろ月夜からも季節が移り変わりつつあることを感じる十八夜だった。


2004-03-04

流氷クルージング体験

流氷船に乗ってみよう!と、ふと思い立った宿主、オホーツク海沿岸に敷き詰まった流氷を遠くから眺めることはよくあったが、今日はオーロラ号のクルージングを体験することとなった。初めての体験にワクワクしながら、しっかりと楽しめるよう完全防寒で景色がよく見渡せるデッキに立った。船が沖合いに走り出すと、そこらじゅうのカモメ、ウミネコたちもいっせいに船を追いかけるようについて来る。出航して約15分くらい経ってから大きな氷塊にぶつかるような鈍い振動があり急に船の速度が落ちたかと思うと、辺り一面が氷の陸地のように拡がっていた。厚さが80cmくらい広さが4~5畳分くらいはありそうな氷の塊が無数にざぶりざぶりと浮いている。これまで流氷について雑誌やネットから情報は得ていたが、「百聞は一見にしかず」の言葉通り、実際の流氷クルージングはもっと迫力があり、遥か遠くまで広がる氷野の雄大な風景に圧倒された。冷たく痛い氷点下の風に吹かれながら、遠くシベリア半島のアムール川河口から漂流してきている流氷の風景の中に自分たちも自然の一部分として立っていられることが凄いことのように思えてきた。のんびりとお昼寝をしているアザラシに出会うことは出来なかったが、遠くの流氷の上で、じっーと立ってこちらを見ている天然記念物のオジロワシには数回出会った。


2004-02-20

海の天使、クリオネ

先日お泊り頂いたお客様に大事そうに抱えられて一緒にやって来たクリオネ。部屋に冷蔵庫がなかったせいかお客様は車の中に放置しておかれる様子だったので、それでは凍結してしまうとのことで宿主が預かり宿の冷蔵庫で一晩を過ごすこととなった。クリオネの和名は「はだかかめがい」。巻貝の仲間で生まれて来る時は貝殻を持っているが成長の過程で捨ててしまうのだそう。学名のクリオネはギリシャ神話の「海の天使」を意味する「クレイオ」に由来。英語ではシーエンジェル。いずれも天使という意味を持たせてある。こんなにたくさんのクリオネたちを間近に観たのは初めてだった。半透明で小さな角をはやし羽衣みたいな服をまといヒラリヒラリと浮遊している様子はかわいらしかった。優雅に浮遊する者もいれば、もくもくとガムシャラに翼をパタパタさせている者もいたりで個体差があっておもしろかった。つい先日、例年よりも2週間以上も遅れて流氷が接岸した網走沿岸には今の季節たくさんのクリオネたちがゆ~らゆ~ら、ひ~らひ~ら、気持ちよさそうに浮遊しているのであろう。