2009-09-23
高い空、風と光と彩りと
初秋の風が通り抜けるたび、木々の重なりの隙間を貫く落陽が辺りをキラキラと輝かせる風景に、なんて贅沢な風と光と景色なんだろう・・・と飽きずにこころ奪われる。紅(黄)葉の始まる季節の風が揺らす木漏れ日の時季の風景は、音楽と絵画と踊りがいっぺんにこころに届いてしまったかのような気持ちでいっぱいになる。自然の生命の循環の中で確実に存在しているこの風景の放つ質感のようなものは、人が作り出す音楽や絵画など、たくさんの文化を寄せ集めてもきっと埋め合わすことのできないくらい感覚に訴える力を持つ。この世に存在するまがいものでない本物、つまり、「自然」と呼ばれるもの、人間の身体もそうだから、私たちのもつ感覚の部分と自然は共鳴し合えるのだろう。身体の中の感覚が自然と文化の異なる次元を取り持つ媒介になっていることを思い出させてくれる秋の季節、成長から成熟の季節の在り方に少しでも近づけるよう、時の流れにこころを澄ます。

大窓から見渡す朝の風景

真っ先に紅(黄)葉し始めた紅葉の木
2009-05-01
緑の季節のはじまり
つい先日の名残雪があっという間に消えるほどの暖かな陽気に包まれるやいなや、一気に緑たちが蠢き出した。長い冬の間、大きな雪塊の重みに耐えかねた植物や木々たちは、折れたり曲がったりしながらも窮屈さからようやく開放され軽やかさをふりまきながら自由を謳歌しているようだ。何気なく歩くいつもの地面に目を凝らすと小さな緑の芽が我も我もとぎゅうぎゅうにひしめき合っている。この地面の奥深いところでは何やら凄いことになってるぞ・・・と不気味で怖いほどのとてつもなく大きな力にぞっとする。沢の水芭蕉、青々としたクレソン、沢沿いの行者葫に蝦夷エンゴサクなど今はまだ芽吹きの軽い助走の段階といったところ。これから、ぐんぐんと音を立てるように留まることを知らぬ勢いで緑と草木の季節がたくましく、確かに駆け抜ける。



2009-03-24
新しい季節の始まり
真っ青な空に紙ふぶきをちりばめたような軽く淡い雪が漂う中、一気に雪解けが進んだ。雪にすっぽり埋まっていた丈の低い木々が姿を現した。小さな蕾がポコポコ膨らみを持たせた枝が生生しく瑞瑞しい。解けた雪の合間の地面にふきのとうがポコリと顔をもたげているのを発見し思わず息を呑んでしゃがみこんだ。いつの間にか春を迎えつつあることを実感しながら、まだ白く覆われている地面の雪をまさぐるように払いのけてみると、地面から半分だけ頭を傾げたふきのとうたちが至るところにポコリポコリと存在していた。渾身の力を振り絞っているかのような傾げ具合が健気さを一層強調してるようで、眩しい気持ちになった。半年ぶりくらいに見るこげ茶色の地面によく映えるパステル調の黄緑色のふきのとうは、季節が変わりつつあることを一番のりに知らせてくれる春の季節の使者だ。また新しく何かが始まるようなあてのない高揚感に戸惑いつつ、かわいらしいふきのとうたちをこころいっぱい眺めて楽しんだ。


