2006-08-12
自家菜園からの収穫
春先にふと、今年は初心者向きの野菜が作ってみたいなあ・・・と、野菜作りから家具作りに至るまでありとあらゆる物作りをいとも簡単にこなしてしまう手先器用な北海道の友人に話していたことをすっかり忘れていた5月末頃、その友人が「どこに畑作る?」を挨拶言葉に面倒見の良い友人は、さくさくと手際よく魔法のようにビニールハウスのある小さな畑を完成させた。見よう見まねで土を耕すこと以外何もできなかった宿主は、小さいけれどこんなに本格的な畑になるとは思ってもみず、芽がでるのを待ちわび、そして芽が出て日に日に育っていく野菜たちの姿に喜びもひとしお、知識豊富な友人からのアドヴァイス通りに水まきと草取り、間引きをする毎日が続いた。そして夏を迎えると成長は勢いづいて留まるところを知らず、次から次に収穫している。ちんげん菜、小松菜、人参、モロヘイヤ、ラディシュ、キュウリ、トマト、紫蘇、パセリ、葱、ラズベリーまで、初心者にしては充分すぎる豊作に収穫のたびに新鮮な喜びの気持ちでいっぱいになる。採りたての土のいっぱいついた野菜をお日様に浴びながら外の冷たい水で洗い流し、根をハサミでパツンパツンと切り落として行くとき、野菜の命を止めているようで、自分の周りのそこかしこには命に関ることで溢れていることを思わずにはいられなかった。野菜にくっついてきた青虫やかたつむりにぎょっ!とし、全く仕様がないなあ・・・と愚痴りながら、でも、何となくかしこまって静かに退かした。




2006-03-20
春を探しに・・・
じわじわと雪解けが進み、積もった雪の高さが一気にしぼんでしまった美留和の風景に雪解け水の流れるせせらぎの音が加わった。春近し・・・とひらひらと軽い雪が漂う中を散歩した。「あっ、いるいる!」とまるで小動物のような感じのするふきのとうたちが沢のところどころで地面と雪を押し上げて真っ直ぐに顔を出していた。この淡いモスグリーンの色合いとかわいらしい形が相乗的にふきのとうらしさを強調してるようでふっと笑えた。良いことが起きても悪いことが起きても時は時の下流に向かって確実にこともなく流れているなか、変化を求めがちで変わってしまうものが多いけれども、変わらないものがあること、変えられないものの強さと安心感をふきのとうたちは静かに語っているように思えた。近所の馬場でまどろんでいるらしいホッパーたちにも逢いに立ち寄ると、脱走癖のあるポニーのさくらが一番先に我よ我よとすりよってきた。ホッパーもチェリーもやってきていつの間にか完全に遊ばれている宿主だった。



2006-01-07
雪見露天風呂の樹氷と夕日と月と・・・
時の一刻一刻の刻みを実感できないまま真っ白な風景を迎え、再び雪の季節が巡ってきた。今朝の美留和は氷点下18℃。青い空を背景に樹氷が際立ち、朝の陽の光に反射した空中のダイヤモンドダストがキラキラと眩しい。にぎやかだったあれだけ多くの生命が雪に包まれ、音のない静かな世界が拡がる風景は実際に目でみえているわけではない遠く深い土の中の漠然とした命のエネルギーの存在のようなものに対して果てのない思いにつまされる。そして、それと同時に、一瞬の思いを凍結してしまっているようでもあり、まるで永い時と一瞬が時空を越え尺度を変えてピタリと重なるかのような安堵感に似た優しさも拡がる。氷点下での風景は夕日も月も星空も・・・どれをとってもどの季節のそれよりも一層際立っているように思える。


